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子宮摘出したら、性生活はどうなる?

  • 執筆者の写真: Yuriko Yamamoto
    Yuriko Yamamoto
  • 10月20日
  • 読了時間: 3分

こんにちは。横浜市の産婦人科、妙蓮寺すいクリニックです。当院では毎月、不定期の日曜日に待合室を開放してお茶会を開催しています。院長が考えたテーマをもとにおいしいお菓子を食べながら参加してくださった方とお話ししているのですが、今月のテーマは子宮でした。


その際、病気で子宮を摘出した場合、セックスライフにどのような影響があるのか参加者の方から質問されました。確かにとっても大事な質問ですが、診察室で話題になることは少ないかもしれないと思います


「子宮をとるだけで卵巣は残りますから、大丈夫ですよ。何も変わりませんよ。」というフレーズを耳にした婦人科患者さんは多いと思います。いわゆる「女性らしさ」の責任者は卵巣から分泌されるホルモンですから、それは確かに正しい説明です。しかし、具体的にどう「大丈夫」なのでしょう。


まず、子宮摘出にはいろいろな種類があります。ここでご説明するのは、「単純子宮全摘術」と呼ばれるその名の通り最もシンプルな子宮摘出のお話です。子宮筋腫や子宮内膜症、初期の子宮体癌では基本的にこの術式が選択されます。開腹手術でも腹腔鏡手術でも同じです。


単純子宮全摘が性生活に影響がないという根拠は主に2つです。ひとつは解剖学的な理由で子宮ぎりぎりのところで腟を切断するから腟がほぼ完全な形で残るから、ふたつめは神経学的な理由で、性的興奮(arousal response)と性的絶頂(orgasmic response)の神経回路は子宮の外を通っているからです。オルガズムには腟オルガズムと陰核オルガズムが主ですが、どちらの感覚も子宮を摘出しても残ります。


神経回路について詳しくみていきましょう。子宮、腟を含む骨盤臓器は陰部神経pudendal nerveという運動神経と感覚神経の支配を受けています。骨盤底筋の運動、陰核(クリトリス)を含む外陰部の感覚はこの神経により伝達されます。また、他の臓器と同様、子宮と腟は自律神経支配も受けていて、交感神経である下腹神経(hypogastric nerve)と副交感神経である骨盤内蔵神経(pelvic splanchnic nerves)の支配を受けています。わたしたちが性行為を心地よいと感じるのは、これらすべての神経回路を行ったり来たりする複雑な反応の結果なのです。すごいですよね。下腹神経は性行為の際に子宮と腟の筋肉を収縮させ、骨盤内臓神経は腟分泌物による腟の潤滑、陰核への血流を増加させ拡張させます。ここでお気づきの方もいらっしゃると思いますが、性行為の感覚には子宮の深部感覚/運動も関係していますので、deep uterine orgasmic sensation, 深部子宮オルガズムとも呼ばれる感覚は残念ながらなくなってしまいます。


以上、おおむね単純子宮全摘術をしてもセックスライフには影響がない理由でした。こんなことちょっと聞きにくいな、と思うこともすいで相談してくださいね。




 
 
 

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