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執筆者の写真Yuriko Yamamoto

PMSの進化論的な意義?!

こんにちは。

今日は1日雨が降っています。自宅の庭のあじさいがうれしそうにしているように思えます。


さて、今日は調査によっては生理のある人の7-8割が影響を受けているとも言われているPMS月経前症候群について話そうと思います。


クリニックをはじめてみて、PMSに悩んでいる人たちの多さに驚いています。そしてひとりひとりの方の悩みが深刻なことにも。「自分が自分でないみたい」「こどもを傷つけるような言葉を発する自分がこわい」「生理がはじまるたびに自己嫌悪におちいる、でもどうしても自分で自分を制御できない」診察室で語られる言葉はどれも切実です。そして、怒りの対象は広範囲の方もいるのですが、パートナーやお子さんといった親密な間柄の人に矛先が向くことが圧倒的に多いです。


どうしてこんなことがこんなにたくさんの人に起こるのか。わたしはひとつの仮説を思いつきました。PMSの症状は排卵後の女性に起こります。つまり、動物としては生殖の機会を逸した後であり、この後のパートナーシップは生殖に結び付くことはないわけです。排卵前に生殖の機会を逃さないようにパートナーにいい顔をして疲れた、その反動なのではないかと。


Michael GillingsというMolecular Evolution (分子進化学、と訳すのでしょうか)の研究者が10年ほど前に、PMSは進化論的に意味があって、生殖能力を欠くオスから離れて新しいパートナーに出会うために有利であったという説を発表しているそうです。しかし、生殖能力があるオスだって遠ざけてしまうでしょうし、この説にはその後いろいろな研究者が疑問を呈しています。


いままでのわずかな診療経験ですが、生理周期に関係なくもともと色々なストレスを背負っている人が多い傾向もあると思います。女性に無償労働を背負わせる無言の圧力が社会に蔓延していることも無関係ではなさそうです。これからもたくさんの女性の話を聞きながら、仮説にもう少し深みを持たせて、山本説も提唱したいところです。


PMSにお悩みの皆さま、ぜひ当院でご相談ください。魔法のような解決法はありませんが、何がしかお役にたてるかもしれません。

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